私は、警察官採用試験の合格に必要なものは、
- 熱意 = 勉強量(自治体研究つまり警察研究…マークシート対策だけではない)
- 正しい警察受験情報
- 普通力
この3つだと考えて、受験生のご指導にあたっています。
特に①の自治体研究(警察研究)は、多くの受験生にとって鬼門になっています。警察のことを調べようと、ネットで調べても良い情報は得られません。親や親せきが警察官や警察行政職員をしている人もいるでしょうが、そういう人は多くないはずです。質問をできる人が身近にいない、というのは孤独で辛いことです。
私は、34年間警察官として勤め、そのうち7年間を警察本部人事課で勤務しました。警察官の仕事のことも、警察採用試験のことも裏の裏まで知り尽くしています。
当警試塾では、警察に縁のない受験生の方や、親や親せきにいるけど納得のいく答えが得られない。こういった受験生の皆さんに、警察研究の一助になればと情報発信を続けています。
今回の記事は、警察官採用試験・警察行政職員採用試験の面接試験では、よく質問される「最近のニュースで気になった話題は何か」「それについてどう考えるか」の関連記事です。私が気になった最近のニューストピックスから、警察の採用試験に関係のあるものだけを取り上げ、そのニュースが採用試験…特に面接試験にどのように影響を及ぼすか、について解説します。
今回の記事を読むと、面接官が普段ニュースからこのようなことを考えながら面接をしている、普段接する時事ニュースのどこに注目すればよいのか…そういったことが理解できるようになります。
警察の良質の情報に触れる機会はなかなかないと思いますので、あなたの毎日の地道な努力を面接試験のプラス要素に転換していってください。良質の警察情報に、とにかく数多く触れていきましょう。それではよろしくお願いします。
- 24歳3年目警察官のけん銃自殺(2022.4.1)
- 公務員の定年延長【採用数大幅減の思わぬ影響】
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24歳3年目警察官のけん銃自殺
(2022.4.1 石川県警)
事案の概要
2022年4月1日午前9時過ぎ、石川県警大聖寺警察署篠原駐在所の24歳巡査長が、駐在所内でけん銃自殺をしているのが発見された。同巡査長と連絡が取れなかったことから、大聖寺警察署の署員が駐在所を訪れた際、巡査長がけん銃自殺をしているのを発見したもの。
巡査長は2年前の2020年に石川県警に採用された後、大卒のため半年間警察学校で学んだあと、2020年9月末に大聖寺警察署の交番に配属。2022年3月28日の人事異動で、交番から篠原駐在所に署内異動となっていた。
自殺の動機は明らかになっていないが、駐在所の中には遺書があった。
篠原駐在所は、JR加賀温泉駅から北に約4kmの住宅街の一角に位置する。
石川県警警務課の次席は「誠に遺憾。今後、事実関係を明らかにし、再発防止に努める」とコメント。また、巡査長の勤務態度に特段の問題はなく、悩みなどは把握していない、とのこと。(読売新聞、中日新聞オンラインから記事抜粋…一部筆者補筆)
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警察庁から全国警察に厳しい通達
(石川県警だけの話ですまない)
まずは、24歳とお若い警察官のご冥福を衷心よりお祈りいたします。職場の人はさておき、ご両親・ご家族のご心痛はいかばかりかとお察しいたします。私も人の親ですが、自分の子供が自ら命を絶つようなことがあったら、どれほど悔やまれるだろうか、どれほど悲しいだろうかと、そう思いながら本記事に接しました。
そういう思いはございますが、ここでは気持ちを切り替えて、特に2022年に警察官を受験する受験生に与える影響について言及したいと思います。
「それって石川県警のことでしょ」「私は石川県警を受験しないし、そんな遠いところの話、関係ないのでは?」…そう思われる方もいるでしょう。でも、それは大きな間違いです。
今回の事案を受け、間違いなく、警察庁(本庁)が石川県警のみならず全都道府県警に通達を発出するはずです。「けん銃自殺を出すとは何事か。採用の現場は何をしているのか?」といった内容の厳しいものです。
これから、警視庁を皮切りに、各地で警察官の採用試験が本格化します。警察庁の通達を受けた各都道府県警の任命権者の警察本部長は、間違いなく、採用試験にあたる面接官に「自殺の兆しのある受験生は採用しないように」と訓示するでしょう。
けん銃自殺が社会に与える大きなインパクト
日本では、けん銃の所持は法律で禁止されていますよ。もちろんですね。
でも、けん銃所持を合法で認められた職業の人がいます。それは
- 警察官
- 海上保安官
- 自衛官
- 猟友会の会員
の3職種と1業態です。本来、けん銃は日本では所持してはいけない禁制品です。だから、それを所持できる警察官は、「ごく一部の選ばれた人」だと言えます。警察の採用試験がメンタル面を重視する理由です。
もしあなたが警察官採用試験に合格して警察官になったら、その日から即日「けん銃」1丁があなたに貸与されます。それは、「市民の生命・身体・財産を守るため」という限定された目的にためにと、警察官になった証として、あなたに貸与されるものです。
これって途方もなく重い責任だと思いませんか?けん銃を着けた警察官がパトロールしても、誰も何も言いません。警察官には、絶大な信頼が市民にはあるからです。
けん銃自殺は、その市民の信頼を著しく損ないます。石川県警警務課の次席のコメントを今一度見てみてください。けん銃自殺した警察官に対する哀悼の言葉は一切ありませんよね。実に冷たい印象です。「誠に遺憾」と遺憾の意を表明するのみです。
ここに、けん銃の「重さ」が如実に表現されています。けん銃自殺は、警察として絶対にあってはいけないものです。日本警察全体の大不祥事です。
市民からは「そんなメンタルの人にけん銃預けて大丈夫なの?警察」「気が違って市民に発砲したりしないよね!?怖い怖い」…それが、市民の偽らざる気持ちです。ただ、警察に信頼があるから表面化しないだけです。
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面接試験に影響必至!面接対策はこうする
では警察官の面接試験で、けん銃の取り扱いについてはどのように扱われるのでしょうか。本庁通達と警察本部長の厳しい指示を受けて、面接官からどのような質問が予想されるでしょうか?
結論を言えば、けん銃に関する直接の質問はないです。というより、メンツがありますから、「けん銃自殺についてどう思うか」といった直接的な質問は出しようがないです。答える受験生も「ダメだと思います」でおわりです。
しかし、面接官の頭の中には常に「けん銃自殺」の言葉がこびりついて離れていないです。
例えば、次のような観点で面接を受けることになります。
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「友人はいますか?」
「どんな友人ですか?」
「親友が2人います」
「お互い助け合ったり高め合ったりできる信頼できる友人です」
(心の声)この友人関係ならけん銃を持たせても大丈夫そうだ
安心した
友人がいて、悩みや不安を相談できる人なら、「けん銃自殺はしないだろう」と面接官は安心します。職場で悩みを抱え込みすぎたり、誰にも相談できない人は心配になります。
面接官
「部活・サークル・ゼミ・職場等では、どんな役割でしたか?」
「問題が起こった時、どのように対処しましたか?」
「ムードメーカー的な役割を果たそうと努めました」
「一人で抱え込まず、相談したり話し合ったりして解決できました」
(心の声)一人で抱え込まないところが良いな
この受験生が警察官になったら、けん銃を預けても大丈夫だろう
安心した
チームワークができて、困難な時にも解決策を模索して、困難を乗り越えてきた経験のある人なら「けん銃自殺はしないだろう」と面接官は安心します。
「ストレスを感じることなんですか?」
「ストレスがたまったと感じた時、どのようにしていますか?」
「人間関係でトラブったときです」
「ついカッとしてしまうことがありますが、車でドライブするとスッキリすることが多いです」
(心の声)人間関係のストレス耐性が低いな…
この受験生にはけん銃は預けられないぞ
警察官に向いていないのでは?
ストレス耐性が一定程度あれば、警察学校の集団生活もできるし、「けん銃を適切に扱ってくれるだろうな」と面接官は安心します。
しかし逆に、ストレス耐性が弱かったり、ストレス対処に不安があると「けん銃を持たせる」と言う意味で、「警察官に不適格」という採点をされかねません。
このように、けん銃自殺事案が他県で発生すると、面接官の頭の中には「けん銃を預けて大丈夫な人か?」の着眼点がこびりついています。本庁通達はもちろん、なにより、任命権者の警察本部長から「メンタルが不安な受験生は採るな」といった厳しい指示がなされているからです。
特に、石川県警を受験される方は、この点に留意してください。
しかし、石川県警以外の受験生も状況はあまり変わっていないです。警察庁の通達は全国都道府県警の面接試験現場のすみずみにまでいきわたっていますから、どこの県警を受けるにしても「けん銃貸与の可否」が警察官採用試験の面接試験で大きな判定点になっていると考えて臨んでください。
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まとめ
けん銃自殺は、家族にとってとても悲しい出来事です。しかし、警察官としてあってはならない出来事です。24歳の、まだ警察官になって丸2年の若い人が自ら重大な決断をするのはよほど思い余ってのことでしょう。私も現職の時、何度か同僚や先輩の自殺の報に接してきました。けん銃自殺ではありませんでしたが…
2018年4月には、滋賀県警彦根警察署で、19歳の警察官(事件後懲戒免職、事件当時未成年のため酌量。懲役22年判決確定)が、交番で一緒に勤務していた41歳の巡査部長を自身に貸与されていた警察のけん銃で射殺する、というセンセーショナルな事件も発生しています。事件当時、滋賀県のみならず日本全国に動揺を与えました。全国の現場警察官にとって衝撃でした!
全国では、忘れたころに「警察官のけん銃自殺事案」や「けん銃の不適正使用事案」が発生しています。その都度、警察庁から全国都道府県警のトップに厳しい通達が出され、採用現場は緊張します。
滋賀県警の事案の時には、事態を重く見た滋賀県警が、事件後すぐに、2人の臨床心理士を警察職員専属のカウンセラーを配置させたほどです。またその後、全国都道府県警の「ピア・サポート制度」を設置する契機にもなりました。
私は、臨床心理士・公認心理師の心理資格を持っています。
警察官の自殺防止については、カウンセラーとしても重大なテーマです。
また、受験生であるあなたにとっては「受験生のメンタルヘルス」も重要な課題だと思います。安定したメンタル状態を保つことは、長丁場を乗り切るために必須の条件です。今後、受験メンタルヘルスに特化した別記事を作成したいと思っています。
今回は、警察官のけん銃不適正事案が、あなたの面接試験で思わぬ影響を与えることについてまとめました。
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公務員の定年延長
(採用数減の思わぬ影響)
ニュースの概要
2023年度から、公務員の定年が延長になります。国家公務員だけではなく、警察官・警察行政職員を含む地方公務員の定年も延長になります。
現在は60歳が定年になっていますが、2023年度からは「2年に1歳ずつ」段階的に65歳に引き上げられていきます。スケジュールは以下のようになります。
- 2023~2024年度に…61歳定年
- 2025~2026年度に…62歳定年
- 2027~2028年度に…63歳定年
- 2029~2030年度に…64歳定年
- 2031年度以降 …65歳定年
生年月日でまとめると、
- 1963年4月1日生以前…定年延長はなし(60歳定年)
- 1963年4月2日~1964年4月1日生(61歳定年へ)
- 1964年4月2日~1965年4月1日生(62歳定年へ)
- 1965年4月2日~1966年4月1日生(63歳定年へ)
- 1966年4月2日~1967年4月1日生(64歳定年へ)
- 1967年4月1日以降の生まれ(65歳定年へ)
になります。
まとめると、2022年現在で、50代後半の警察官・警察行政職員から順次定年が延長になる、ということになります。
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受験生には「採用数大幅減」という思わぬ事態
受験生のあなたが、警察官や警察行政職員になって定年を迎えるころにはどうなっているでしょうか。おそらく確実に「70歳定年」「75歳定年」という時代になっているでしょう。
公的年金の支給開始年齢は、すでに60歳から65歳へと引き上げられました。今後さらに70歳・75歳へとどんどん繰り延べされていきます。少子高齢化の影響です。
「定年が延長になること自体は良いこと」と肯定的に捉える人がいる一方で、「そんな年まで働いていたくない」「体力があるうちに早く辞めたい」という人もいます。しかし、時代の流れになっていますので、この定年延長問題はいずれ避けては通れません。
ところが、今回の公務員の定年延長で、思わぬところで割を食って損をする可能性がある人がいます。それが、皆さん方公務員受験生です。
実は、各都道府県警の警察官の数は、法令で定められています。これを「定員」といいます。例えば、
- 警視庁 :警察官43,644人
- 大阪府警:警察官21,308人
- 神奈川県警:警察官15,176人
- 愛知県警:警察官13,264人
- 千葉県警:警察官11,594人
- 埼玉県警:警察官11,265人
- 兵庫県警:警察官11,474人
- 北海道警:警察官10,593人
- 福岡県警:警察官10,486人
などと定められています。警察行政職員の定員数も、
- 警視庁:警察行政職員3,015人
- 大阪府警:警察行政職員1,768人
などと定められています。
定員の数は、各都道府県の規模によって増減しますが、いずれにしても、無制限・無秩序に新人を採用しているのではなく、「今年は●●人が定年退職などで辞めるから、来年の採用数は●●人」と決められているのです。また、定員数は、本庁の警察庁によって決められているので、各都道府県警では、採用数を増やしたくても、勝手に数を増減させることはできません。
つまり、上の高年齢の人が定年延長で辞めないと定員数が「玉突き」状態になって、定年延長になった警察官の数だけ、新しく採用する人の数が減らさせる、という事態になってしまうのです。
しかも、定年年齢の延長は、今後約10年間にわたり続きます。その期間ずっと、採用数が減らされることになるのです。
- 定年が延長になった警察官の数だけ、採用数が減らされる
- しかも、今後10年間ほど、この状況が続くことに
この事態は、受験生には本当に一大事です!死活問題です!
これまで、滑り込みで合格できたレベルの受験生が、今後次々と不合格になってしまうのです。採用試験の面接官も、これまでより一層厳しく受験生を選別していかなければならないでしょう。
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まとめ
公務員の定年延長という、一見すると受験生にとって好ましいような情報が、実は大きな落とし穴になっていた、というニュースです。
受験生には、今後さらに厳しい時期が来るかもしれませんが、「合格のためにするべきこと」はこれまでと変わりません。危機感はしっかり持ちつつも、あなたはしっかり学び、しっかり準備していきましょう。
今回の記事は以上です。時事ニュースには敏感でいなければならないですね。今後も、面接試験に役立つ時事ニュースをコメント付きでご紹介していきます。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
(完)
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